(財)亜熱帯総合研究所
日本におけるミバエ類根絶事業関連研究妙録集

 

異なった季節に放飼したアリモドキゾウムシ雄の分散

□Author 宮竹貴久;小濱継雄;川崎建次郎;守屋成一;岸田光史;山村光司
□Year 2000
□Journal Appl. Entomol. Zool.
□Volume 35
□Issue 4
□Pages 441-450
□Notes English

 南方系侵入害虫であるアリモドキゾウムシを根絶するため、沖縄県では本種に対して不妊虫放飼法を適用している。この根絶事業を支援するため、本論では標識放飼再捕法によってアリモドキゾウムシ飼育雄成虫の分散を野外で調べた。沖縄島中部に位置する読谷村のサツマイモとサトウキビの混在する地域において、異なる季節に同様の放飼試験を7回繰り返した。毎回約8,000個体の標識雄を放飼した結果、合計で54,444個体の雄を放飼し、そのうち14,746個体の雄をフェロモントラップによって回収できた(回収率は27.1%)。放飼雄の分散距離、生存率、及び野生雄の個体数を推定した。その結果、回収率と分散距離は試験期間の平均気温と正の関係があった。また野生雄の推定個体数は、気温の高い夏季に最も高かった。得られた結果の、南西諸島における本種の根絶計画への活用について議論した。


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