(財)亜熱帯総合研究所
日本におけるミバエ類根絶事業関連研究妙録集

 

標識再捕法によるイモゾウムシの個体数,生存率および移動距離の推定

□Author 金城邦夫;伊藤嘉昭;比嘉良次
□Year 1995
□Journal Appl. Entomol. Zool.
□Volume 30
□Issue 2
□Pages 313-318
□Notes English

 植生条件の異なる3か所の野外圃場でイモゾウムシEuscepes postfasciatus FAIRMAIREの個体数と生存率そして移動距離を標識再捕法によって調査した。データーは修正Jackson正法およびJolly-Seber法によって解析した。その結果,植えつけ後の圃場(実験3)では,生存率と個体数推定値は修正Jackson正法で479頭/441m^2,0.72/10日,そしてJolly-Seber法では,576頭/441m^2,0.88/10日,とそれぞれ推定された。しかし,収穫中の圃場(実験1)では野生虫・放飼虫とも捕獲されなかったため十分な解析ができなかった。また植物のない圃場(実験2)では野生虫が捕まらなかったため再々捕獲法で生存率のみ推定してJolly-Seber法で0.81/5日,Jackson正法で0.98/5日の値が得られた。このためこのような圃場で個体数推定を行う場合には,新しい方法(強力な誘引剤)の開発が必要であると考えられた。本種成虫の移動距離は,第2回調査の結果から雌で33m/5日間と推定された。本種は飛翅できないにもかかわらず不適な環境条件下ではかなり移動することが示唆された。


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