イモゾウムシ成虫の交尾と妨害に関わる発音

□Author 安田慶次；徳里正哉
□Year 1999
□Journal Appl. Entomol. Zool.
□Volume 34
□Issue 4
□Pages 443-447
□Notes English

　イモゾウムシEuscepes postfasciatus の成虫はピンセット等でつまむと腹部背面にあるトゲと前翅裏面のヤスリ状の面をこすり合わせて発音（妨害音）することが知られている。その単位音の長さは雌で22.5±1.9ms，雄で16.9±2.2msで差が認められず，波形も同様であった。これは捕食者に対する防御反応と考えられる。一方，雄成虫のみがマウント時に発する音（コートシップソング）は87.9±8.5msで，波形も前記と異なった。これは雌との交尾に至る行動の１つのステップと考えられ，雌はこのコートシップソングを感知して交尾を受け入れ，拒否の場合は妨害音を発して交尾拒否を示した。また，雄が雄にマウントした場合，下の雄が妨害音を発することも観察された。