(財)亜熱帯総合研究所
日本におけるミバエ類根絶事業関連研究妙録集

 

イモゾウムシの精子形成過程とガンマ線照射による不妊化機構に関する研究

□Author 桜井宏紀;村上善紀;内村晴子;小濱継男;照屋匡
□Year 2000
□Journal 岐阜大農研報
□Volume 65
□Issue
□Pages 5-12
□Notes Japanese

 イモゾウムシ(Euscepes postfasciatus FAIRMAIRE)の不妊化方法を確立するため,雄成虫の精子形成過程の特徴と,成虫に照射したガンマ線の精子形成に及ぼす影響を組織学的に検討した。非照射個体では完成精子は成虫8日齢頃より形成され,貯精嚢内に貯留され始めた。14日齢成虫の精巣で精細胞と精子の微細構造が観察された。羽化2日後の成虫への50〜90Gy照射により,精子形成過程が撹乱されて,貯精嚢内の精子数は激減した。14日齢の70Gy照射虫では精原細胞の萎縮,精母細胞の核濃縮や核崩壊,精細胞内での複数の核や軸糸の存在とミトコンドリアの変形が観察され,優性致死変異を示す異常精子が形成された。これらの結果から,イモゾウムシ雄の不妊化のための照射最適条件を考察した。


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